「和牛」と「国産牛」の違いは?
和牛とは元々日本で飼われていた牛を品種改良したもので「黒毛和種」「褐色和種」「日本短角種」「無角和種」の4種類のことを指します。 和牛独特の脂の甘みや霜降りは、血統によるところが大きいと言われています。
一方、国産牛は日本国内で3か月以上飼育された牛のことを言いますので、ホルスタイン種などの輸入種や、交雑種(黒毛和種とホルスタインのかけあわせ)なども、 日本で飼育され加工されれば国産牛と呼ばれます。
雌牛の方が美味しいってホント?
まず、雌牛と雄牛(去勢牛)についてご説明させていただきます。雌牛とは、未経産牛のことで出産していない牛のことをいいます。出産後の牛は経産牛と呼ばれます。一方、去勢牛とは、生後4~5ヶ月で雄牛の睾丸を切除し た牛のことです。雄牛は肥育の上で去勢しないと性格が荒く飼育しにくいことから去勢します。去勢することで性格が穏やかになり、しかもホルモンバランスが 変わるため肉質が柔らかくなり雌牛以上にサシが入りやすくなるのです。
雄牛の肉は雌牛の肉よりも劣っていると言われていますが、本当のところはどうなのでしょうか?
牛肉の評価は、肉の柔らかさ、脂の味、見た目の美しさを重要視しますが、これらを突き詰めていくと「雌牛」に行きつきます。雌牛の「脂」は去勢牛と比べ 「不飽和脂肪酸」が多く含まれていることから去勢牛よりも美味しいと言われているのです。雌牛は融点が低いから食べやすく、「人肌で脂がとける」とか「口 のなかでとろける」などと表現されることも多いようです。
では、ホントのところ雌牛の肉は雄牛(去勢牛)の肉よりも優れているのでしょうか?
霜降り肉は見た目はキレイですが、いざ食べると2~3切れで満足してしまったということは、だれもが一度は経験したことがあるかと思われます。
食べ方や料理方法にもよりますが、雌牛で脂の融点が低くてもサシの入った肉はそれほど食べられないのがホントのところです。もちろん、霜降り肉でもあっさりとした脂質の肉も稀にありますが、よく考えていただければ分かることですが霜降りというのは脂です。たくさんは食べられないものなのです。しかも年々その傾向は強まるばかりで、これは牛にサシを入れすぎることが原因かと思われます。
牛の飼育は、産地や環境、飼料に至るまで、生産者の技術によるところが大きく日本の和牛が世界的にも注目されているのは、じつは牛にサシを入れる技術が優れているからなのです。しかし、それが味に関係しているかと言えば、また別の話です。
雌牛や雄牛にこだわるよりも、だれがどのような環境で育てたのか、どのような飼料で育てたのか、つまりは生産農家さんの志によるところが大きく、良い品は良い人柄が作り出すのです。もちろん、味に関しては、個人差がありますが雌牛も雄牛も味に大差ないのがホントのところなのです。